低侵襲脳外科手術ロボット研究内容
1.研究背景
近年,医療技術の進歩に伴い低侵襲手術が導入されてきてる. 低侵襲とは手術による切開,剥離,臓器の切除,出血などの手術時の患者に与える肉体・精神的ダメージを最小限に抑えることを言う.患者への負担改善が実現される反面,手術の難易度が上がり医師への負担が増してきている.患者と医師双方の負担を軽減することが求められ, マスタ・スレーブ方式による低侵襲手術支援ロボットの開発が期待されている.
本研究の目的
Fig.1 脳ヘラによる脳外科低侵襲手術
現在,国内の政策においても治療の低侵襲化は大きな流れとなっているが,低侵襲手術が適応できる症例は限られている.これは人体の構造上,低侵襲手術を行うための「空間」を確保できる部位(腹部・胸部)が限定されているからである.
本研究では低侵襲手術の適応が難しいとされている脳外科手術において脳ヘラを用いて「空間」を確保することで手術の効率向上を目的としている.
2.マスタ・スレーブシステム
手術支援ロボットの基本的なシステム構成は術者がマスタを操作し,その動作のとおりに遠隔地の作業現場にあるスレーブを動かすという形態である.写真は現在臨床応用され,稼動しているマスタ・スレーブシステムの手術支援システムの一例である.
Fig.2 マスタ・スレーブシステム
2.マスタ・マニュピュレータ
本研究ではマスタ・スレーブシステムのマスタ・マニピュレータの開発を行っている.スレーブ(脳ヘラ)は早稲田大学で開発されており工学院大学,早稲田大学,東京女子医科大学と共同で研究・開発に取り組んでいる.写真はその製作されたものである.操作者が操作しやすいよう様々な工夫が施されている.操作性を実験するために3Dシミュレータを使用し,実際の手術現場での実用に向けて今日も研究活動を行っている.
Fig.3 マスタ・マニピュレータと脳ヘラのシミュレータ